スレッショルドを持つカードはカードテキストに
「スレッショルド―能力」と表記されています。
スレッショルドは、墓地に7枚以上のカードがあるときに有効になる能力です。あなたの墓地の枚数が7枚未満であれば、スレッショルドは何の意味も持ちません。しかし、7枚を超えるとその能力が有効になるのです。
たとえばあなたが、
このクリーチャーは、攻撃に参加することでタップしない。
スレッショルド―このクリーチャーは+1/+1の修正を受け、飛行を持つ。
と書いてある1/1クリーチャーをコントロールしていたとします。あなたの墓地が7枚未満であれば、このクリーチャーは単なる1/1です。しかし、あなたの墓地が7枚を超えたとたん、このクリーチャーは2/2の飛行クリーチャーに早変わりするのです。
なんといっても、能力が増えるのです。(中には増えて欲しくない能力もありますが)。スレッショルドをで得られる能力は、そのマナ・コストに対して効果の大きなものが多く、スレッショルドに達していることで少ないマナで多くの効果を得ることができます。
実は先ほど例にあげたのは、《秘教の改悛者》という実在のカードです。このカードのマナ・コストは(白)だけです。仮に墓地の枚数が7枚以上あれば、たったの1マナで2/2の飛行クリーチャーを場に出すことができるのです。
また、墓地の枚数をうまく調整することで奇襲効果を狙うこともできます。通常は3/3のクリーチャーが、スレッショルドに達することで4/5になるとすれば、勝てると思って攻撃してきた相手の4/4クリーチャーをブロックした後で、何らかの方法で墓地を7枚以上にすれば、一方的に戦闘で勝つことができます。
スレッショルドは、墓地に7枚以上のカードがなければ意味をなしません。そこで早く墓地を7枚にしなければならないのですが、以外に墓地のカードを増やすのは簡単ではありません。普通にプレイしているだけではなかなか墓地のカードは増えません。
そこで、スレッショルドを活用するデッキには墓地のカードを増やす手段を盛り込むことが多くなります。《野生の雑種犬》などの共鳴者もいいですが、捨てるばかりでは手札が減ってしまいますから、《マーフォークのものあさり》や《強制》などのドローとディスカードをいっぺんにできるカードを使うとよいでしょう。なかには、ライブラリから直接カードを墓地に送り込むカードもあります。そういったカードを活用するのもよいでしょう。手札やライブラリのまだ使ってないカードを、直接墓地に置くのをためらってはいけません。デッキにはまだまだたくさんのカードがあるのですから、かまわずどんどん捨てちゃいましょそう。
スレッショルドの中には、パーマネントに起動型能力を与えるものがあります。たとえば、《投鎖獣》は以下のような能力を持っています。
(1)(赤),(T):投鎖獣は、対象のクリーチャー1体か対象のプレイヤー1人に、1点のダメージを与える。
スレッショルド − (2)(赤),(T):投鎖獣は、対象のクリーチャー1体か対象のプレイヤー1人に、2点のダメージを与える。
通常は、2マナ、タップで1ダメージしか飛ばすことができませんが、スレッショルドに達すると3マナ、タップで2ダメージを飛ばすことができます。限定戦の2点直接ダメージは非常に強力なので、このクリーチャーは限定戦ではかなり強いとされています。
で、問題はスレッショルドに達している状態で2点ダメージを飛ばす能力をプレイし、それがスタックに乗った状態で墓地の枚数が6枚以下になったらどうなるのでしょう?・・・・どうにもなりません。ちゃんと2点ダメージは解決されます。ここでも、マジックの黄金律、「一度プレイした能力は、その発生源がどうなろうとも解決する」が適用されます。スレッショルドを失って、能力がなくなったとしても、いったんスタックに乗せた能力には何の影響もないのです。
今度は、赤のソーサリー《震央》というカードを見てみます。このカードのテキストはこのようになっています。
対象のプレイヤー1人は、土地1枚を生け贄に捧げる。
スレッショルド − かわりに、すべてのプレイヤーはすべての土地を生け贄に捧げる。
つまり、墓地が6枚以下でプレイすれば相手対象のプレイヤーは土地を1枚生け贄にするだけ。しかし、スレッショルドに達していれば、赤い《ハルマゲドン》と化すのです。
さて、このカードを墓地が6枚以下のときにプレイしたとしましょう。対象は対戦相手を指定しました。その後、スタック上の《震央》が解決する前に、スレッショルドに達してしまったら、いったいどうなるのでしょうか?・・・・この場合は、すべての土地が破壊されてしまいます。解決時にスレッショルドに達したため、スレッショルドの効果が有効になり、対象のプレイヤーが土地を1枚生け贄に捧げる代わりに、すべての土地が破壊されてしまうのです。このへんは、さきほどの《投鎖獣》の例とは微妙に異なった結果になります。それは、《投鎖獣》はスレッショルドにより新たな起動型能力が追加されるのに対し、《震央》はスレッショルドに達することにより、この呪文の効果そのものが変化するからなのです。
《生まれ変わった勇士》は、スレッショルドに達しているときに墓地に置かれると誘発する能力を持っています。
生まれ変わった勇士は、攻撃に参加することによってタップしない。
スレッショルド―生まれ変わった勇士が場から墓地に置かれたとき、あなたは(白)(白)を支払ってもよい。そうした場合、生まれ変わった勇士はあなたがコントロールしている状態で場に戻る。
さて、墓地が6枚のときに《生まれ変わった勇士》が墓地に置かれたらどうなるでしょう。《生まれ変わった勇士》が墓地に置かれたことにより、たしかに墓地の枚数は7枚になりスレッショルドに達します。しかし、この場合は《生まれ変わった勇士》の能力は誘発しないのです。なぜなら、マジックにはカードが墓地に置かれることによって誘発する能力の誘発条件は、そのカードが墓地に置かれる直前の情報を参照するからです。墓地に置かれる直前には、まだ墓地の枚数は6枚ですから、スレッショルドの能力は誘発しないのです。
スレッショルドを防ぐにはどうすればいいのでしょう?やはり相手の墓地のカードを取り除くのが一番手っ取り早そうです。オデッセイブロックには、墓地を操作するカードはたくさんありますから、それらを使えばいいでしょう。中でも《消えないこだま》は最強です。
なお、《封印の地》ではスレッショルドを防ぐことはできません。あしからず。