小学生のとき、初めて買った漫画雑誌が当時隆盛を誇った少年チャンピオンだった。当時のチャンピオンは、がきデカ、ドカベン、ブラックジャック、マカロニほうれんそ荘、750ライダー、などそうそうたるラインナップだっがが、そのなかで自分が好きだったのは、吾妻ひでお先生の「チョッキン」だった(「ふたりと五人」はすでに終了していた)。そこから、自分のマンガ遍歴が始まることになる。
また、当時デビューしたとり・みき先生のファンになったも、作風が吾妻ひでお先生に似ていたというのもある。とり・みき先生自体も吾妻先生のファンで、多大な影響を受けていたというを知ったのはまたずいぶんのちのことである。
不条理日記。この本は大学時代に何の気なしに古本屋で買った単行本だが、面白いけど変な作品集だなぁという感想しか持っていなかったが、それが希代の名作であることを知ったのもそれからずいぶんたってからである。
失踪日記。衝撃の作品。普通に人気作家だと思っていた先生が、こんなことになっていたとは実に衝撃であった。しかしそれを、まったく悲壮感のないマンガにしてしまったことがさらに衝撃であった。吾妻先生の偉大さを認識したのはこのときである。
吾妻先生のマンガの登場人物は、みなすべて適当に生きている。吾妻先生自身そうだったのかもしれない。自分は、一生懸命生きて素晴らしい結果をも越している他のマンガの熱血主人公たちよりも、適当に生きて、適当な(ろくてもない)結果しか残さない吾妻先生の登場人物に惹かれ、共感した。それが今の自分の生き方を形作ったのかもしれない。自分もまた行き当たりばったりに適当に生きて、適当に死んでゆくのだろう。
数々の素晴らしい作品をありがとうございました。
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